運命の実技試験。
私は2月3日の15時でした。
4日間ある日程のうち、2月1日午前が試験の人もいます。
1日でも長く練習でき、遅い時間のスタートなので朝から練習して本番に臨めました。
会場は代々木の山野美容専門学校。
会場によっては長い机を二人でシェアします。
その点、山野美容専門学校は一人に一台の机。
試験の環境は運が味方してる。
試験会場には集合時間の20分前に着いたけれど、待合室は既に全員着席している状態でした。
何が驚いたって、50名程いるであろうその組の受験者の中で通信生らしき人は私一人。
どう見ても10代後半の若者しかいないのです。
最悪だ!!
というのも、周囲の作品との比較も採点に加味される、と聞いていたからです。
通学生の作品に比べ見劣りするのは明らかです。
そんな内心の動揺はそのままに、試験官が一人ずつ受験票の顔写真と名前を確認して周り、試験の説明がされます。
その後、試験官の指示に従い待合室から荷物を持って試験会場に移動。 私語は厳禁なので、一列になって無言で移動します。
43歳で半袖の白衣を着て、引っ詰め髪で若者にたった一人混じり、無言で歩く。
試験会場に移動し、自分の番号が書かれた机の前に立ちます。
まず爪の検査。衛生審査員が一人ずつ回って手をチェックします。
いきなりです。
爪を切り忘れてました
練習でぼろぼろなので長いわけじゃないけれど、切り揃えていないから白い部分が少し伸びてる。
審査員の優しそうなおじさまが、えっ⁈と二度見。
こんなことで落ちるなんて・・・
これが自分の人生なんだと、もう後は野となれ山となれ。
その後ウイッグの検査(不正がないか、一体一体審査員がチェックして回るのです)、規定の道具を出して第一課題カット試験開始。
カットは
- 指を切らないように
- 道具を落とさないように
- 切り残しがないように
指を切って血が出たら絆創膏で処置しないといけません。
そして物を落としたら用意してある除菌ウエットティッシュで拭き、「衛生委員!落としましたが消毒しました!」と叫び、「はい。」と許可されたら作業に戻れます。
当然ですが、そんなことしてたらタイムに入りません。
それが! 前の席の若い男の子が、3回も物を落としてこのやり取りをしたんです!
しまいには物を拾うときに私の机にガンっ‼️とぶつかってきて。
心の中でツッコミまくりましたが、とにかく自分の作業に集中しました。
何とかいつもどおりに切れました。
カットウイッグを再び無言で審査室に置きに行き、戻ってオールウェーブ です。
道具の交換時間、カットした髪を片付ける時間を経て実技スタート。
この間も全て審査対象になります。
作業道具以外に、ビニール袋に入れたタオルや絆創膏、ウエットティッシュ、ゴミ袋、それにはそれぞれ”消毒済み”などのシールを貼らなくてはなりません。
どの順番で何を出す、なども決まっていて、通学生は試験前にその模擬テストを何度も繰り返します。
何をどうしても通信生は不利です。
今後試験を受ける方は、実技だけでなく、試験の流れはしっかり頭に入れておいてください! オールウエーブは いつもどおり、いつもどおり・・・ 呪文のように唱えながらやりました。
出来栄えはいつもどおり、タイムも余裕がありました。
終わってウイッグはそのまま、別室で待機。
審査が終わると戻り、片付けて帰ります。
審査が終わって試験会場に戻ったタイミングで、初めて周囲の作品が目に入りました。
通信生と通学生の歴然とした差がそこにはありました。
周りはお手本のように綺麗なんです。何もかもが。
無理だった・・・
本番もいつもどおりにできたのにこんな作品たちと比べられたら・・・
爪も切ってなかった、台皿を変な形で置いてしまった・・・。
絶望を抱えながら会場を後にしました。
開放感に包まれ、答え合わせのように作品を見せ合う若者達を横目に、燃え尽きた私は一人重い足取りでその横を通り過ぎます。
実技ではなく、衛生面で落ちる可能性もあります。
結果として受かりましたが、今後受験される方は、私のようなケアレスミスはしないよう、どうか注意してください。