3年前。40歳でした。
目的は美容学校に行くことではなく、国家試験に合格すること。
学費の安さをうたっていた隣県の山奥の学校に入学しました。
千葉・埼玉・群馬・神奈川 今はそのマウンティングがネタにされていますが、関東の土地勘が全く無い人間にはピンときません。
隣県ならまぁ大丈夫だろうと。
何でも深く考えるより先に行動してしまうタチです。
往復5時間 東京〜名古屋間よりも遠いということに、最初のスクーリングで気づきました。
通うのは厳しいと判断して、スクールバスの発着駅前のホテルを約10日間予約。
初めてのスクーリングに参加しました。
初日でも、案内板や案内人は皆無。
教室前の張り紙や人に聞いて自分の教室になんとか辿り着きました。
教室に入ると10代のいかにも!な美容学生の若者から50代くらいの人まで。
半数くらいは30歳前後のマツエクのために来てるだろうな、という人たちでした。
しばらくすると先生が。
先生は自己紹介するでもなく、今後の説明をするでもなく、出欠を取り出しました。
通信てこんな感じなのか・・・ 事前に希望者だけが注文していた美容道具一式が配られました。
もちろん私も注文していましたが、道具を持参している人も少なからずいて、スタートがまるで違うのだと思い知りました。
大きな黒いバッグにマネキン2体、コーム、ハサミ、入れ物、ピンやロッドなど、美容室で見る道具一式が収められていました。
結構な重さ、大きさです。
これ、毎日持ち運びしなきゃいけないのか? 素朴な疑問が浮かびました。
いきなり、 「さぁワインディングからやるから準備して!」 ・・・ワインディングが何かもわからない 全員、平然と道具を出して準備開始。
自分以外はまるで初日とは思えない動きです。
周りを見ながら遅れないように用意する。
「じゃあコーセーから説明します」
・・・コーセーが構成のことだと後から気づきました
「ブロッキングは・・・スライスを」
・・・ブロッキング、スライスが何かもわからない
「コームを」
・・・(いくつか入っていた”クシ”の中から先生と似た物を探しだし)コレか、持ち方も分からない
こんな状態の人はクラスで明らかに自分だけ。
周りはシュッシュッとスプレイヤーでマネキンの髪を濡らし、コームで計りながら髪を分けとり、色も種類もたくさんあるロッドの中から適切なものを選び、戸惑いながらもクルクルと巻いていきます。
「ネープから・・・バックポイント、正中線から○センチ、ここは下巻き、こっからは上巻き、ここはピンクロッド○本分、このスライスは斜めに○センチ感覚・・・」
先生が解説しながらマネキンの髪を巻いていくのですが、専門用語と○センチ、色、ロッドの種類や巻き方、など初めて聞く言葉しかなく、何一つ頭に入ってきません。
とんでもないところに足を踏み入れてしまった
ロンドンのメイク学校でもヘアアレンジのクラスはあったものの、ヘアに興味はなく、“私はメイクしかしない、ヘアは必要ない‼️”と言いきって講師に怒られたくらいです。
ヘアメイクという言葉がありますが、日本は両方できる人が一般的です。
海外は、ヘアスタイリストとメイクアップアーティストは別です。一緒の場合もあるけれど、より専門性が高いプロフェッショナルが存在しています。
ヘアメイクさんに聞いても、ヘアのが好き、メイクのが得意、とやはり志向は人それぞれ。 私はヘアは一切しない(興味がない)と決めていたのに・・・ こんな運命が待っていようとは まぁ一言で言えば地獄です。
私には、【やりたくないことはやらない】という信念があります。
でも、目標の過程にやりたくないことがあった場合、それは、”やるべきこと”に変わります。
やるしかないのです。 先生は声なんてかけてくれません。
自分から呼んで、コームの持ち方からスライスの取り方を教えてもらいました。 周りは見よう見真似でどんどん巻き進めています。
そんな中、私は何度やっても、真っ直ぐに髪の毛を左右や前後に分け取ることすらできません。
あまりの不器用さに先生も困ってしまうほど。
真っ直ぐ取り分けたつもりが歪んでしまう。
1日練習しても1本のロッドを満足に巻くことさえできませんでした。
他の先生に変わるときも、あの人大変だからと申し送りをされてしまうほど、どう考えてもクラス一下手。
下手というより、スタートラインにさえ立てていない状態。
40歳で幼稚園児なみに右も左も分からない世界へ。
一方で10日間も仕事を離れるわけにはいかない現実がありました。
当時眉毛エクステ用の商材を化粧品で作るため、作ってくれる会社を探し、断られ、連絡を待ちながらも他もあたる日々。
講習の問い合わせや予約もひっきりなし。
授業の間に電話やメール、ホテルに帰ってからも仕事に追われる日々が始まりました。
続く
↑今見ても分かりません