自分の劣等生ぶりに、普通は落ち込むと思います。
が、私は違います。
最初から自分ができるとは思っていないので、落ち込みもしません。
周りの人と比べることもしません。
目的は美容師免許を取ること。それだけです。
初日に確信したことは一つだけ。自分には相当な努力が必要だという現実です。
これからの3年間、どこでどれだけの時間を使うべきかを考えました。
3年後は長過ぎてコツコツはとてもできない。
もちろんコツコツするべきなのは分かっちゃいるけど、できない目標は立てません。
最後の1年が集中すべきときだと狙いを定めました。
クラスを見回すと、少しずつ打ち解けてグループができていきます。
私は、前の席に座った二人と仲良くなりました。
50代のAさんは、20代の娘さんがいるようにはとても見えず、若々しく全く年齢を感じさせない誰とでも分け隔てなく話し、休むと心配して声をかけてくれる優しい人でした。
スクーリングも3年間ほぼ皆勤賞。
クラスでもっとも真面目に努力をされていた人でした。
30代のBさんは、持参した道具を使い、どう見ても最初からクラスで一番作品のクオリティが高い。
垢抜けたオシャレさんでヘアスタイルを何人かの先生に褒められるほど。
Bさん、前の席の若い女の子が「もう分かんなーい!ねえねえこれどうやるの?」なんて聞かれると親切に教えてあげています。
スクーリング初日で皆、自分が覚えることに必死です。
普通なら・自分も分からないと言う・先生を呼ぶ・先生に聞いてくれの三択でしょう。
彼女は違いました。
困ってる人を放っておけない、自分が分かることはやろうという心が行動に現れていました。
まだ言葉を交わす前でしたが、彼女の人間性が強く印象に残りました。
男女なら一目惚れの瞬間です。
この直感に間違いはなく、彼女はこの3年で最も私を助けてくれた恩人の一人であり、一生大切にしたい友人となりました。
そんなこんなで数日経った頃には仲良く話せる友人ができ、学生生活を実感するように。 仕事では先生と呼ばれ、責任者として気を張る毎日なのに、ここでは「先生教えてください!ありがとうございます!」 と言えてしまう。
ひとりの生徒として先生に質問できること、指導してもらえることが新鮮であり、有り難みを感じました。
周りも大人なので、面倒な人間関係はゼロ。
責任もない、肩書きも経歴も年齢も関係ない。
生活はハードだけど心は気楽で、スクーリング期間は回を重ねるごとに楽しみな時間になっていきました。
数日間のスクーリングで、歪みはあるものの、スライスが取れるようになり、ロッドも数本だけ、なんとなく巻けるようになりました。
国家試験は、決められた構成どおりに数十本のロッドを20分間で綺麗に巻き収める必要があります。
逆算すると、スライスや1本のロッドを巻くのは秒単位での作業です。
私は髪を分けるブロッキングに数時間 何度やっても歪むから、次に進めないのです。 周りもあえて私の作業には触れません。
声のかけようがない、アンタッチャブルな存在。
一方で、私自身はスライスが取れるようになった!1本でもロッドが巻けた!できないことができるようになった現実に、ガッツポーズ
まぁ先生は相変わらず苦笑いでしたが
続く